【大人向け】絵本から学ぶ子どもの世界

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絵本を読む人・しんちゃん(NPO法人ほがらか絵本畑 理事長 三浦信也さん)のお話を聞く機会がありました。私は塾を運営しながら子育て中の父親でもあります。正直いうと、「聞きたい!」と思って参加したお話ではありませんでした。子どもが絵本を読んでもらうのを外から見守ろうかな、というのが本音。過去に「ブックトーク」など、絵本を読み聞かせする場に子どもを連れて行ったこともあります。「まあ、今回もそんな感じかな」と軽い気持ちで参加してみたんです。

今を生きる子ども 過去や未来を考える大人

結論から言うと、子どもたちは大爆笑。大興奮。家に帰ってからも、お風呂に入ったときも、寝る前もしんちゃんの読んでくださった絵本の話題でもちきり。こんなの初めてです。うちの子どもたちは完全に絵本の世界にどっぷりとつかっていたのでした。

後半には保護者向けのお話もありました。印象に残ったことをご紹介します。

子どもたちは、ぼくたち大人の世界とは異なる、広くて深い別の世界に棲んでいる

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子どもたちは「今」を思いっきり楽しんでいるそうです。後のことは考えない。前にあったことも悔やまない。今したいことを今する。「昼から~があるから準備しなさい」と親が言ったところで準備なんかしません。「今」ではないから。「今」したいのは準備じゃなくてボール投げ。「準備しなさい!」としかってしまいがちですが、よく考えたら納得です。(実際には待ち続けられないのも現実ですが…)

一方、広くて深い子どもの世界を満喫できない子どもたちが急増しているそうです。絵本のお話の世界に入り込めない。これは特に10年くらい前から強く感じるとのこと。すごいスピードで進んでいく社会の中で、安心感を抱けず、不安を感じているのです。

子どもの進むスピードを時速30kmとすると、昔から全然変わっていないけど、大人の進むスピードはどんどん速くなっている。今は時速100kmの高速道路を走っているようなもの。そのまま一般道を走ったら…

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何でも大人の感覚で子どもたちに要求してしまってることも多いのではないでしょうか。時速100kmで子どもたちに伝えても、時速30kmの世界では速すぎて危険です。でも大人の気持ちもわかります。「そんなことしてたら周りに置いて行かれるよ!」という親心です。それを理解しれくれない子どもにイライラ。よくありますよね。

大人がイライラしていたら、子どもは「不安」になります。自分を見てほしいから、もっと気を引くためにいたずらをすることもあります。それを見て大人はもっとイライラ。悪循環です。

理屈に縛られた大人を救ってくれるツールの1つが絵本

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こどもに絵本を読むことで、大人自身も気持ちを解きほぐされる。大人を救ってくれる。絵本にはこんな力があるそうです。

ストレスいっぱいの大人。もちろん子どもも一緒。すべて不安からくるもの。でも、安心感があれば、心にゆとりが持てます。絵本の世界にも入り込めるのです。私も小さい時に、布団の中で親に読んでもらった本のことを今でも覚えています。お話の内容は忘れてしまいましたが、その時の感覚、風景は鮮明に頭に焼き付いています。最近、古本屋でその本を見つけたので、思わず買ってしまいました。うちの子どもにも同じように読んでやりたいと思って。お話の世界で「想像力」を育んだ子どもたちは「夢」や「希望」を思い描く力をつけていきます。

大人は「今を楽しむ」という人生で一番大事なことを忘れている、ということを気付かされました。「昨日~さんに言ったことは失敗だったかな」とか、「明日は月曜日だからゆううつだな」とか、「今」関係ないことを考えて時を過ごしています。なんとももったいないことです。「明日はプレゼンだから」と準備をするのも大切なことですけどね。

たまには過去や未来を忘れて、自分の子どもと思いっきり遊ぶ。今を思いっきり楽しむ時間をとってみましょう。欧米の人たちが上手に休暇を楽しんでいるのは、もしかするとこの辺りの切り替えが上手だからかもしれません。

大人が元気になれば、子どもが安心する社会になる

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知識としては知っていました。実際に心掛けてきました。大人のみなさんは思いますよね。私もその一人です。でも…もっとできることがあるんじゃないか、と感じます。お話の途中で頭フル回転です。(←未来を考えて今を楽しんでいない証拠)

今回のお話を聞くことで、まずは大人が変わろう、と再確認させられました。「子どもが~すれば…」は子どもが考えることです。大人が変わるのが一番早い。こんなことを塾の運営にも、我が子の子育てにも、と強く感じた大切な時間でした。感謝です。


ご紹介: NPO法人ほがらか絵本畑理事長、株式会社ほがらかカンパニー代表取締役社長 三浦信也さん

1962年生まれ。団体職員・企業勤務を経た後、絵本を読むことを生業とする。子どもたちと掛け合いとしながら、場の一体感を作っていく独特なスタイルの絵本ライブは、保育園・幼稚園の園児からPTA、教育関係者、老人会まで幅広い層に口コミで広がり、公演は年間約300本に。出会った子どもたちも10万人を超える。近年では、子どもたちの姿から学んだ「本気」「想像力」をキーワードに、企業セミナーでビジネスマンを対象に、これからの新しい生き方を提唱している。

(『特定非営利活動法人ほがらか絵本畑』より抜粋)

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